微熱がつづく 夜になると ここのところそうだ・・。
憂 弐
剣心が また いつもの通り 庭に積もった雪をみて 思いをあの頃に
彼女《 巴 》に馳せている
時折、苦しげな笑顔を見せる度に 私の胸はチリッ と熱くなる
さりげなく剣心に「大丈夫」かと尋ねてはみるが 彼特有のあの笑顔で その度ごとに
かわされてしまう。
コホッ・・
「薫殿・・?具合でも悪いでござるか? 最近咳が多いようでござるが」
「・・大丈夫よ?・・剣心こそ庭先にばかりいたら風邪ひいちゃうわよ!」
薫はつとめて明るく振舞う。剣心の言うとおり、最近あまり具合が良くない
朝は幾分体調は良いのだが、夜になると微熱がつづいている
本当は診療所に行った方が良いのだろうが、医者に診てもらったなど言ったら
剣心に余計な心配をかけてしまうに違いない。
雪の季節でただでさえ、不安定な彼のココロにこれ以上負担をかけたくはない
「ふ〜疲れたー。」
稽古が終わり、汗を拭いていた。
「薫!お前、体なまってんじゃないか!? なんだよさっきのあの動き!
ったく 剣術しかとりえが無いんだから腑抜けてんじゃねーぞ!ブス!!」
「ブスって言うなって いったでしょ〜!!」
立ち上がり、弥彦をどつきに行こうかとしたその瞬間 生臭い鉄の味が口内に広がった
「!!薫・・!?」
自分で立っていられなくなり、薫はその場に崩れるように倒れこんだ
「おい!しっかりしろ!! 今、剣心呼んでくるから!」
薫を道場の床に静かに横たえ、弥彦は剣心を呼びに走り出そうとした。
すると、薫が弱々しくもその手で弥彦の胴着を掴み
「・・剣心 には・ 言わないで・・」
「何言ってんだよ!!」
「剣心 には・・心配 かけたく・・な・・いの」
途切れ途切れにも、薫は弥彦に 必死に懇願した
ゴホッ
薫の口から、大量の緋色の液体が流れ出て、薫の胴着を見る見る間に紅く染めていった
「・・お願 い 剣・・心 には・・ 」
薄れゆく意識の中で、弥彦に必死になりお願いしながら、薫は自分の命が
あと、そう長くは無いことを悟った
★ 暗い方向になってしまいました(滝汗) 皆さんもう薫ちゃんが何の病だかは
気付きましたね!!はい!あの有名な沖田さんと同じ病です。
この話を今後どういう展開にして行こうか迷ってた時に、免疫学の世界的な
権威である、某教授の講義を受け、その講義の中でこの病気がかなり取り入れられていてそこで決定しました。 講義中、何考えてるんだ自分・・・。